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「どうして歯医者でレントゲンと口腔内写真を撮るの?」

2025/08/05

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みなさんは歯科医院を受診すると、「まずはレントゲンを撮りましょう」「お口の中のお写真を撮りますね」という言葉を一度は耳にしたことがありませんか?

特に痛みがあるわけでもないのに、「どうしてレントゲンや口の中の写真を撮るのだろう」と思ったことはありますか?

今回はどうしてレントゲンと口腔内写真を撮るのか一緒に知っていきましょう!

《目次》

◯歯科用レントゲン撮影の役割と目的

◆ レントゲンでしか見えない世界

私たちの口の中には、歯の表面だけでなく、歯の根や顎の骨、歯の内部構造など、肉眼では見えない多くの情報があります。

そもそもレントゲンでは何が見えているのでしょう?

レントゲン検査ではX線という電磁波を物体に当て、その吸収率の差がコントラストとして現れたもので読み解きます。

具体的には、歯科の領域では「硬組織」という歯の中や歯を支える骨など硬いものが白く写り、神経や感染によって骨が溶けているところや虫歯で歯が柔らかくなっているところなどは黒く写ります。

その為、レントゲン(X線)撮影を行うことで、次のような診断が可能になります。

① 歯と歯の間の虫歯

歯と歯の間は、鏡でも見づらく、ライトを当てても見えないことがほとんどです。初期の虫歯は痛みもないため、レントゲンがないと見逃す可能性があります。

② 歯の根の病気

歯の神経が死んでしまった場合、根の先に膿がたまり、「根尖病変(こんせんびょうへん)」という炎症が起こることがあります。これも外からは見えず、レントゲンでのみ確認可能です。

③ 歯周病による骨の吸収

歯周病は、歯を支える骨(歯槽骨)を少しずつ溶かしていく病気です。歯ぐきが腫れているだけでは進行度が分かりにくく、骨の状態を知るためにはレントゲンが不可欠です。

④ 親知らずの位置や向きの確認

親知らずがまっすぐ生えていない場合、手前の歯を押したり、歯ぐきに埋まったまま炎症を起こしたりすることがあります。レントゲンを使えば、骨の中にある親知らずの角度や深さを把握できます。

⑤ 永久歯の数や位置の確認(小児・矯正)

子どもの場合、乳歯の下に永久歯があるかどうか、また生えてくる向きなどもレントゲンで確認します。矯正治療では、歯の根の方向やあごの骨格の状態を把握するために欠かせません。

◯放射線のリスクと安全性について

歯科レントゲンに対する不安として、放射線の影響を気にされる方もいらっしゃいます。

しかし、歯科で使われるレントゲンの放射線量は非常に少なく、1回のパノラマ撮影で約0.01~0.03ミリシーベルトとされています。

これは下記と同程度、あるいはそれ以下のレベルです:

• 東京~ニューヨーク間の飛行機移動:約0.1ミリシーベルト

• 自然界から年間に受ける放射線:約2.4ミリシーベルト

妊婦の方や小さなお子様の場合には、緊急性や必要性を慎重に判断した上で、原則として撮影を控える、撮影時には鉛入りの防護エプロンを着用していただき、必要以上の被ばくがないよう管理する、もしくは歯科用CTは避けるなど、安全面に最大限の配慮をしています。

◯口腔内写真の目的と意義

レントゲンが「見えない部分を映し出す」ツールだとすれば、口腔内写真は「見える部分を客観的に記録する」ためのツールです。

◆ 視覚的な説明で理解しやすくなる

歯科では、患者さんに病気や治療内容を説明する場面が多くあります。しかし、口の中は自分では見えにくく、言葉だけでは伝わりにくいことも。

そこで役立つのが口腔内写真です。たとえば:

  • 歯ぐきの炎症がある部位をカラー写真で確認することができる
  • 虫歯のある歯の黒ずみや穴を拡大して見ることができる
  • 磨き残しや歯石がどこにどれだけあるかを明示することができる

このように視覚的に「自分の口の中の状態」を把握できることで、患者さんの理解と納得が深まります。

◆ 治療の記録・経過比較に使える

口腔内写真は、定期的に撮影しておくことで、次のような使い方もできます。

  • ホワイトニングの「ビフォー・アフター」を比較
  • 矯正治療の進行記録
  • メンテナンス時の状態変化(歯ぐきの腫れや色の改善)
  • 修復物(詰め物や被せ物)の経年変化

こうした記録は、患者さんにとっても「治療の成果を視覚的に確認できる」ことにつながり、予防意識やモチベーションの向上にもつながります。

また、口腔内写真は頬粘膜や舌といった軟組織の異常(口腔がん、舌がん)の発見にも役立ちます。さらに、手術時の撮影は治療方針の確認にも活用されます。

◯まとめ|「見える化」は安心・安全な治療の第一歩

口腔内の病気や異常は、肉眼だけでは確認できないことが非常に多く、正確な診断と適切な治療を行うためには、画像診断が不可欠だからです。

歯科で行うレントゲン撮影や口腔内写真の撮影は、単なる記録やルーティンではありません。

それぞれに明確な目的があり、

• レントゲンは「見えない病気の早期発見・診断」

• 口腔内写真は「見える状態の記録と説明」

という異なる役割を担っています。

どちらも、患者さん一人ひとりに合わせた精密な診断と、納得のいく治療計画を立てるために必要な大切な工程です。

また、視覚的な情報があることで、患者さん自身が自分の口の健康に主体的に関わる意識が芽生えることも期待できます。

「自分の口の中を、もっと知って、もっと守る」

その第一歩が、レントゲンと口腔内写真の撮影なのです。

当院では、必要に応じてレントゲンや口腔内写真を撮影し、丁寧な説明とともにご提供しています。分からないこと、不安なことがあれば、どうぞお気軽にスタッフ・ドクターにご相談ください。


この記事は、アネックスデンタルクリニック院長・岡本が監修しています。

アネックスデンタルクリニック・矯正歯科 院長岡本の写真