
「歯は一度失うと元にはもどらない」とよく言われます。
実際に、天然の歯は削ったり抜けたりすると、元の状態に戻ることはありません。だからこそ、毎日のケアがとても大切です。
では、なぜ歯を失ってしまうのでしょうか。
日本人が歯を失う主な原因は、虫歯と歯周病です。
虫歯は歯が溶けてしまう病気、歯周病は歯を支える骨が溶けてしまう病気で、どちらも進行すると抜歯が必要になることがあります。
しかし、これらは日々のケアによって予防できる病気でもあります。
特別なことをする必要はなく、正しい知識を身につけ、生活習慣を少し見直すだけでも歯の寿命は大きく変わります。
「できるだけ自分の歯で食事を楽しみたい」
「将来も入れ歯やインプラントに頼らず過ごしたい」
そのために、今日から無理なく始められる習慣を取り入れることが大切です。
今回は、歯の寿命を延ばすためのポイントをわかりやすくお伝えします。
この記事の内容
歯の寿命とは?

「歯の寿命」とは、歯が抜けることなく、自分の歯としてしっかり噛み、話せる期間のことを指します。
ただ“歯がある”だけでなく、違和感なく使えていることも大切なポイントです。
歯は年齢とともに自然に抜けるものではありません。
多くは、虫歯や歯周病といった病気が原因で失われます。
さらに、
・噛み合わせの乱れ
・歯ぎしりや食いしばり
・強すぎるブラッシング
・事故や外傷
なども、歯に負担をかける要因になります。
つまり、歯の寿命は生まれつき決まっているものではなく、日々のケアや生活習慣によって大きく変わるということです。
丁寧な歯みがきや定期検診を続けている方は歯を長く保ちやすく、症状が出てから受診する習慣では寿命を縮めてしまうこともあります。
とはいえ、今からでも遅くはありません。
正しい知識とケアを心がければ、将来残せる歯の本数は大きく変わります。
「80歳で20本以上の歯を残そう」という8020運動があるように、80歳になっても多くの歯を保つことは十分に可能です。
歯の寿命は延ばせるもの。
まずはその意識を持つことが、第一歩になります。
正しい歯みがきと歯間ケアで歯を守る

歯の寿命を延ばすうえで、基本となるのが毎日の歯みがきです。
どれだけ良い治療を受けても、セルフケアが不十分では歯を長く保つことはできません。毎日の積み重ねが何より大切です。
歯みがきの目的
歯みがきの目的は、歯に付着した歯垢(プラーク)を取り除くことです。
歯垢は細菌のかたまりで、虫歯や歯周病の原因になります。
特に汚れが残りやすいのは、
・歯と歯ぐきの境目
・奥歯のかみ合わせ
・歯並びが重なっている部分
です。
強くこするのではなく、小刻みにやさしく磨くことがポイントです。力を入れすぎると、歯ぐきを傷つけてしまうこともあります。大切なのは「時間」よりも「磨く場所を意識すること」です。
歯ブラシだけでは不十分
実は、歯ブラシだけで落とせる汚れは全体の約6割程度といわれています。
残りは歯と歯の間に残りやすく、ここが虫歯や歯周病の原因になります。
そこで必要なのが、
・デンタルフロス
・歯間ブラシ
といった歯間ケアです。
歯間の汚れを取り除くことで、虫歯や歯周病の予防、口臭改善にもつながります。
セットで行うことが大切
歯みがきと歯間ケアは、どちらか一方では不十分です。
まずは1日1回、夜だけでも歯間ケアを取り入れてみましょう。
基本を丁寧に続けることが、歯の寿命を延ばす一番の近道です。
フッ素を上手に活用する
歯の寿命を延ばすために、ぜひ取り入れたいのがフッ素です。
フッ素には虫歯を予防する働きがあるだけでなく、初期の虫歯の進行を抑え、歯の再石灰化を助ける作用もあります。
つまり、虫歯を防ぐだけでなく、できかけの虫歯を守る役割もあるのです。
手軽に始めるならフッ素入り歯みがき粉
もっとも続けやすい方法は、フッ素入り歯みがき粉を使うことです。
毎日の歯みがきに取り入れるだけで、歯の表面が強くなり、虫歯になりにくい状態を保てます。
効果を高めるためには、
・適量を使う
・歯みがき後は少量の水で軽くゆすぐ
といった点を意識しましょう。
歯科医院でのフッ素塗布
歯科医院では、より高濃度のフッ素を塗布することもできます。
特に、子どもや虫歯になりやすい方、矯正治療中の方には効果的です。
フッ素は正しく使えば安全で心強い味方です。
毎日のセルフケアと歯科医院でのケアを組み合わせることで、歯をより長く健康に保つことができます。
食生活が歯に与える影響
歯の健康というと歯みがきを思い浮かべがちですが、実は毎日の食生活も歯の寿命に大きく関わっています。
何を食べるかだけでなく、どのように食べるかも大切なポイントです。
甘いものは「食べ方」が重要
お菓子や甘い飲み物は、量や食べ方に気をつければ楽しんでも問題ありません。
ただし、
・だらだら食べ続ける
・間食の回数が多い
・甘い飲み物を頻繁に飲む
といった習慣は注意が必要です。
食事のたびに口の中は酸性に傾きますが、間食が多いと酸性の時間が長くなり、歯が溶けやすくなります。
「何を食べるか」だけでなく、「食べる時間や回数」を意識することが大切です。
よく噛むことも大切
しっかり噛むことで唾液が多く分泌されます。
唾液には、汚れを洗い流し、酸を中和し、歯を守る働きがあります。
栄養バランスを整える
カルシウムやたんぱく質、ビタミン類などをバランスよく摂ることも、歯や歯ぐきを丈夫に保つために重要です。
やわらかいものばかりでなく、適度に噛みごたえのある食品を取り入れることも歯の健康につながります。
毎日の食習慣を少し見直すことが、歯の寿命を延ばす大切な一歩になります。
定期検診の大切さ

毎日ていねいに歯みがきをしていても、セルフケアだけでは落としきれない汚れがあります。
特に歯と歯の間や歯ぐきの奥の汚れは、ご自宅で完全に取り除くことが難しい部分です。
さらに、虫歯や歯周病は初期にはほとんど自覚症状がありません。
「痛くないから大丈夫」と思っているうちに、知らない間に進行してしまうこともあります。特に歯周病は気づきにくい病気です。
定期検診でできること
定期検診では、
・虫歯や歯周病のチェック
・歯ぐきやかみ合わせの確認
・詰め物や被せ物の状態の確認
など、お口全体を総合的に診てもらえます。
また、専門的なクリーニングによって、歯石やバイオフィルムなどの汚れをしっかり除去します。正しい歯みがき方法のアドバイスを受けられるのもメリットです。
早期発見が歯を守る
定期検診の目的は、早期発見・早期治療です。
初期の段階で対応できれば、歯へのダメージを最小限に抑えられます。
「悪くなってから」ではなく、「悪くなる前に」通うことが大切です。
セルフケアと定期検診を組み合わせることが、歯の寿命を延ばす近道になります。
まとめ
歯の寿命は、年齢だけで決まるものではありません。
毎日の生活習慣やセルフケアの積み重ねによって、大きく変わります。
・正しい歯みがきと歯間ケア
・フッ素の活用
・食生活の見直し
・定期的な歯科検診
これらを意識することで、歯を長く健康に保つことは十分に可能です。
また、「よく噛むこと」や「こまめな水分補給」も大切です。唾液の分泌が促され、口の中を清潔に保ちやすくなります。
さらに、歯の健康は全身の健康とも深く関わっています。お口を守ることは、体全体を守ることにもつながります。
将来も自分の歯で食事や会話を楽しむために、今日からできることを少しずつ。
その積み重ねが、未来の歯の本数を左右します。
この記事は、西宮北口 アネックスデンタルクリニック院長・岡本が監修しています。


