毎日の歯磨きに欠かせない「歯磨き粉」。
ドラッグストアに行くとさまざまな種類が並んでいて、「どれが自分に合っているのか分からない」と感じたことはありませんか?
実は歯磨き粉は、どれも同じように見えて、それぞれに“得意分野”があります。虫歯予防、歯周病対策、知覚過敏、着色汚れのケア等、目的に合ったものを選ぶ事で、毎日のセルフケアの質がぐんと高まります。
今回は「歯磨き粉をどう選ぶか?」というテーマで、市販品と歯科専売品の違いや、成分の見方についてわかりやすくご紹介します。

この記事の内容
市販品と歯科専売品の違いは?
まず、歯磨き粉には大きく分けて2種類あります。
• 市販品:ドラッグストアやスーパー、ネットなどで手軽に購入できる
• 歯科専売品:歯科医院を通じて購入する製品(ネットでは扱われていない場合もあり)
成分の大きな違いはないものの、歯科専売品は“目的がはっきりしている方”に向けて作られており、成分配合がやや高濃度だったり、低刺激・低発泡設計になっていたりと、使いやすさや予防効果に配慮されたものが多い傾向にあります。
とはいえ、市販の歯磨き粉でも十分に効果的なものはたくさんあります。近年では市販品でも高濃度フッ素(1450ppm)配合のものが増え、機能的にも差は縮まっています。ご自身の使いやすさや味、価格なども考慮しながら、無理なく続けられるものを選ぶのが大切です。
歯磨き粉を選ぶときのポイント

歯磨き粉を選ぶときは、次の2点を意識してみてください。
1. 何を予防・改善したいのかを明確にすること
2. その目的に合った成分が配合されているかを確認すること
例えば、虫歯予防が気になる方と、歯ぐきの腫れが気になる方とでは、選ぶべき歯磨き粉は違ってきます。
目的別|注目したい成分と特徴
■ 虫歯を予防したい
◆注目成分:フッ素(フッ化ナトリウムなど)
フッ素は歯を強くし、初期の虫歯を修復する働きがあります。
市販品でも1450ppmのフッ素が配合されたものが多くなっており、毎日の使用におすすめです。
☑️ポイント:磨いた後にあまり強くうがいをしすぎないことで、フッ素の効果が長持ちします。うがいの目安はペットボトルキャップ1杯分の水を口に含み吐き出すくらいの量です。
■ 歯周病・歯肉炎を予防したい
◆注目成分:CPC(塩化セチルピリジニウム)、IPMP、グリチルリチン酸など
これらは殺菌作用や抗炎症作用がある成分で、歯ぐきの腫れ・出血を抑える効果があります。

☑️ポイント:歯周病が気になる方は、歯磨き粉だけでなく、歯の磨き方や歯間ブラシやフロスなどとの併用も大切です。
■ 冷たいものがしみる(知覚過敏)
◆注目成分:硝酸カリウム、乳酸アルミニウムなど
象牙質を刺激から守ることで、しみる感覚を緩和してくれる成分です。
☑️ポイント:即効性はありませんが、継続使用で症状の緩和が期待できます。
■ 着色汚れ(ステイン)が気になる
◆注目成分:ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、無水ケイ酸(研磨剤)など
コーヒーや紅茶、タバコによる着色汚れの除去をサポートします。
☑️ポイント:強い研磨剤は歯の表面のエナメル質を傷つける恐れがあるため、毎日使うなら「低研磨」の表示があるものがおすすめです。
おすすめの歯磨き粉(目的別)
目的別に比較的手に入りやすいものや、よく使われている歯磨き粉をいくつかご紹介します。
◆虫歯予防におすすめ
• チェックアップ スタンダード(歯科専売)
低発泡・低研磨で長時間磨きやすい設計。1450ppmフッ素配合。高濃度のフッ素入り。
◆歯周病予防におすすめ

• 小林製薬 生葉(市販)
殺菌作用、菌の毒素阻害作用のある「ヒノキチオール」配合。
抗炎症・殺菌成分が複数配合され、歯ぐきの炎症抑制に効果あり
◆知覚過敏におすすめ
• シュミテクト コンプリートワンEX(市販)
硝酸カリウムでしみる症状に対応。バランスの良い処方。
◆ステイン対策におすすめ
• ブリリアントモアW(ライオン/市販・歯科流通)
ポリリン酸で着色を浮かせて落とす。毎日使える低研磨タイプ。
まとめ 目的に合った歯磨き粉で”日々のケア”をレベルアップ
歯磨き粉は、ただの香りや泡立ちを楽しむアイテムではなく、「何を防ぎたいのか」「どんな悩みを改善したいのか」によって選ぶべきものが異なります。
市販品にも高機能な製品が多く、日常使いとして十分な効果が期待できます。一方で、より症状に特化したケアをしたい場合や、お口の状態に合わせた成分が気になる場合には、歯科医院で相談してみるのもおすすめです。
毎日使うものだからこそ、自分に合った1本を選び、効果的なセルフケアを目指していきましょう。
ご希望であれば、検診時にスタッフがお口の状態を確認しながら、使いやすい歯磨き粉をご紹介することも可能です。お気軽にご相談ください。
この記事は、アネックスデンタルクリニック院長・岡本が監修しています。
