
突然ですが、みなさんは「歯に良い食べ物」や「歯に悪い食べ物」と聞いて、どんな食材を思い浮かべますか?
実は、毎日の食事は歯の健康に大きく関わっています。
たとえ、丁寧に歯みがきをしていても、一方で食生活によっては虫歯や歯周病のリスクが高まることもあります。
そこで、この記事では予防歯科の視点から、歯に良い食べ物と悪い食べ物について詳しく解説します。
つまり、「何を食べるか」や「どう食べるか」を意識することが、将来の歯の健康を守る第一歩です。
そのため、将来も自分の歯でしっかり噛んで食べたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
健康な歯を育てるおすすめの食べ物5選
まずは、歯の健康維持に効果的な「歯に良い食べ物」からご紹介します。
1. チーズ・牛乳・ヨーグルト:カルシウムの王様たち

まず注目したいのが、チーズやヨーグルトなどの乳製品です。
これらには歯や骨をつくる主成分であるカルシウムが豊富に含まれているからです。
このカルシウムは、歯の再石灰化(=溶けかかったエナメル質を修復する働き)を助け、虫歯の進行を防ぐうえで欠かせません。
さらに、チーズには口の中のpHバランスを整え、虫歯菌の働きを抑える効果もあります。
そのため、食後に一口チーズを食べる習慣をつけるのもおすすめです。
2. 小魚・海藻類:カルシウムとミネラルが豊富

次におすすめなのが、煮干しやしらす、ひじきなどの小魚や海藻類です。
これらにはカルシウムやマグネシウムなど、歯の形成に欠かせないミネラルが豊富に含まれているからです。
特に成長期の子どもや妊婦さんには、歯や骨の発育を支えるために積極的に摂ってほしい食材です。
また、骨ごと食べられる魚は歯だけでなく骨の健康維持にも役立つため、高齢者の方にもおすすめです。
3. 野菜・果物:ビタミンと繊維で歯ぐきを健康に

続いて注目したいのが、ビタミンや食物繊維を多く含む野菜や果物です。
特に、ビタミンCが豊富な野菜(ブロッコリー、パプリカ、キャベツなど)や果物(キウイ、いちごなど)は、歯ぐきの健康維持に欠かせません。
なぜなら、ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、歯周病の予防にも大きく関わっているからです。
さらに、繊維質の多い野菜をしっかり噛むことで唾液の分泌が促され、口の中の自浄作用が高まります。
4. ナッツ類:ミネラルと唾液分泌を促す食感

次におすすめなのが、アーモンドやくるみなどのナッツ類です。
ナッツには、カルシウムやマグネシウム、ビタミンEなど、歯や歯ぐきの健康に役立つ栄養素が豊富に含まれているからです。
さらに、ナッツをしっかり噛むことで顎の筋肉が鍛えられ、噛む力の維持にも繋がります。
そのうえ、嚙む刺激によって唾液の分泌が促され、口の中の自浄作用も高まります。
ただし、硬いナッツを無理に噛むと歯が欠けることがあるため、食べる際は注意しましょう。
5. キシリトール入りガム

最後にご紹介するのが、砂糖不使用で虫歯菌の働きを抑える「キシリトール入りガム」です。
今では、“歯に良いおやつ”の代表として広く知られています。
特に、食後にキシリトールガムを噛むと、唾液の分泌が促されて口の中の酸が中和され、その結果、虫歯予防に効果的です。
注意したい!歯の健康を損なう食べ物5選
続いて、歯の健康を損なう原因になりやすい「歯に悪い食べ物」を紹介します。
1. 清涼飲料水・ジュース・スポーツドリンク

まず注意したいのが、炭酸飲料やフルーツジュース、エナジードリンクなどです。
これらには、多くの糖分と酸が含まれ、虫歯菌のエサになるだけでなく、歯のエナメル質を溶かす「酸蝕症(さんしょくしょう)」の原因にもなるからです。
また、一見“甘くなさそう”なスポーツドリンクやビタミン飲料も油断できません。
そのため、飲む際はストローを使ったり、水で口をすすぐなどの工夫を心がけましょう。
2. あめ・キャラメル・グミ

次に注意したいのが、長時間口の中に残る甘いお菓子です。
というのも、砂糖が歯にまとわりつくことで虫歯菌が活発になり、虫歯のリスクが高まるからです。
また、キャラメルやグミのように粘着性のあるお菓子は歯の隙間に残りやすく、とくに歯と歯の間や奥歯の溝に悪影響を与えます。
3. 酸っぱい食品(酢、レモン、梅干しなど)

次に注意したいのが、お酢やレモンなどの酸性食品です。
これらを頻繁に摂ると、歯のエナメル質が溶ける「酸蝕症」を招く恐れがあるからです。
また、酸っぱいものを食べた直後に歯みがきをすると、エナメル質をさらに削ってしまう可能性があります。
そのため、まずは水でうがいをし、少し時間をおいてから磨くようにしましょう。
4. スナック菓子・クラッカー類

次に注意したいのが、ポテトチップスやクラッカー、せんべいなどの「でんぷん質」のお菓子です。
一見、甘くないので安心と思われがちですが、実は虫歯の原因になることがあります。
というのも、でんぷんは唾液中の酵素で糖に変わり、歯の溝に詰まりやすいため、磨き残しが増えて虫歯リスクが高まるからです。
5. アルコール類・お酒のつまみ

最後に注意したいのが、アルコール類とお酒のつまみです。
まず、お酒には糖分が少ないものもありますが、ビールやカクテルには意外と多く含まれています。
さらに、アルコールは口の中を乾燥させ、唾液の働きが弱まることで虫歯や口臭の原因になることもあります。
そのうえ、つまみにナッツやスナック菓子を組み合わせると、歯にとって二重のリスクとなります。
食べ方とタイミングで変わる歯の守り方
次に知っておきたいのが、食べ物の種類だけでなく、「どのように食べるか」も歯の健康に大きく関わるということです。
・ダラダラ食べ・間食の回数に注意
まず注意したいのは、食事やおやつの時間がだらだらと長く続くことです。
というのも、口の中が長時間「酸性」の状態になり、虫歯ができやすくなるからです
さらに、「食べる→酸性→唾液で中和」のという自然なサイクルが崩れてしまうため、時間を決めて食べる習慣をつけることが大切です。
・食後すぐの歯磨きには注意が必要
さらに知っておきたいのは、酸性の強い食品(フルーツや酢など)を摂取した直後の歯の状態です。
この状態で強く歯を磨くと、エナメル質を削ってしまう恐れがあるため、食後はまず水で口をすすぎ、30分ほど時間を空けてから歯磨きをするのが理想的です。
まとめ
歯を守るためには、「磨き方」だけでなく「食べ方・食べるもの」も非常に重要だということです。
歯に良い食べ物のポイント
・カルシウムやビタミンが豊富
・よく噛んで唾液が出る
・再石灰化を助ける食品(チーズ、キシリトールなど)を取り入れる
歯に悪い食べ物の特徴
・糖分や酸が多い
・粘着性があり、長時間口の中に残る
・唾液の分泌を妨げるもの
毎日の食事は“薬”にも“毒”にもなります。
ただし、「食べてはいけない」ということではなく、食べたあとのケアや、バランスの良い食事を意識することが大切です。
そのため、自分の歯をいつまでも健康に保つために、まずは食習慣の見直しから始めてみましょう。
この記事は、西宮北口 アネックスデンタルクリニック院長・岡本が監修しています。



