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歯肉退縮とは?歯茎が下がる原因・治療法・放置するリスク【歯科医師が解説】

2026/07/26

カテゴリー:

「歯が以前より長く見えるようになった」

「歯の根元が見えてきた」

「冷たいものがしみるようになった」

「歯と歯の間に黒い隙間ができて気になる」

このようなお悩みはありませんか?

これらは歯肉退縮(しにくたいしゅく)が原因かもしれません。

歯肉退縮とは、歯ぐきが下がり、本来歯ぐきに覆われている歯の根元が露出してしまう状態です。

歯肉退縮は見た目だけの問題ではなく、知覚過敏や根面むし歯、将来的な歯周組織のトラブルにもつながることがあります。

しかし、多くの方は「少し歯ぐきが下がっただけだから様子を見よう」と考えてしまい、気づいた頃には治療できる範囲が限られてしまうケースも少なくありません。

この記事では、歯肉退縮の原因や治療法、そして「悪くなる前にできること」について歯科医師がわかりやすく解説します。


目次

  1. 歯肉退縮とは?歯茎が下がる症状とは
  2. 歯肉退縮の原因
  3. 歯肉退縮を放置するとどうなる?
  4. 歯肉退縮は「治療」より「予防」が大切
  5. 歯肉退縮への対応
  6. 歯肉退縮を改善し、予防する治療
  7. 歯肉退縮の治療症例
  8. 当院では歯肉退縮をどのように診断しているか
  9. よくある質問
  10. まとめ

歯肉退縮とは?歯茎が下がる症状とは

歯肉退縮とは、歯ぐきの位置が徐々に下がり、歯の根元(歯根)が露出した状態です。

初期はほとんど症状がありませんが、進行すると

  • 歯が長く見える
  • 歯の根元が黄色く見える
  • 冷たいものがしみる
  • 歯磨きでしみる
  • 歯と歯の間に黒い隙間(ブラックトライアングル)ができる
  • 根面むし歯になりやすい
  • 汚れがつきやすく、丁寧に歯磨きをしてても歯石がつきやすくなった

などのお悩みにつながります。

特に前歯では見た目が気になって来院される方が多く、下の前歯では知覚過敏がきっかけになることも少なくありません。


歯肉退縮の原因

歯肉退縮は一つの原因だけで起こるものではありません。

いくつかの要因が重なって進行することが多い病気です。

歯ぐきが薄い(Thin phenotype)

生まれつき歯ぐきが薄い方は、歯肉退縮が起こりやすいことが知られています。

歯ぐきが薄いと、日常生活で受ける刺激や加齢の影響を受けやすく、少しずつ歯ぐきが下がってしまうことがあります。


強すぎる歯磨き

力を入れてゴシゴシ磨いたり、硬い歯ブラシを使用したりすると、歯ぐきに慢性的なダメージが加わります。

毎日の小さな刺激が積み重なり、歯肉退縮につながることがあります。


歯周病

歯周病によって歯を支える骨や歯ぐきが失われると、歯ぐきも一緒に下がってしまいます。

まずは歯周病をしっかり治療することが重要です。


歯並び・矯正治療

歯並びが悪い部分では、歯ぐきや歯を支える骨が薄くなっていることがあります。

矯正治療では、歯を適切な位置へ移動させることで清掃性が改善し、歯周病のリスクを下げられるなど多くのメリットがあります。

一方で、もともと歯ぐきが薄い部位や、治療前から歯肉退縮がある部位では注意が必要です。

歯並びが整うことで、これまで重なって隠れていた歯ぐきのラインが見えやすくなり、もともと存在していた歯肉退縮やブラックトライアングル(歯と歯の間の隙間)が目立つように感じることがあります。

また、矯正治療によって歯並びが改善しても、すでに下がってしまった歯ぐきが自然に元の位置まで回復することは多くありません。

そのため、歯ぐきが薄い方や歯肉退縮がある方では、矯正治療前から歯ぐきの状態を評価し、必要に応じて歯ぐきを改善・補強する治療を検討することもあります。


噛み合わせ・噛む力

歯肉退縮は歯ぐきだけの問題ではありません。

一部の歯に強い噛む力が集中すると、その歯を支える歯ぐきや骨に大きな負担がかかります。

特に

  • 食いしばり
  • 歯ぎしり
  • 一部だけ強く当たる噛み合わせ

などがある方では、歯肉退縮が進行しやすい場合があります。

そのため当院では、歯ぐきだけでなく、噛み合わせや噛む力まで含めて診査しています。


歯肉退縮を放置するとどうなる?

初期は痛みが少ないため、そのまま様子を見てしまう方も多くいらっしゃいます。

歯肉退縮は、原因が改善されないままでは、少しずつ進行するということがよくあります。

歯ぐきがさらに下がると、露出する歯根の範囲が広がり、知覚過敏が強くなったり、根面むし歯のリスクが高くなったりします。

また、歯が長く見える、歯と歯の間の隙間が目立つなど、見た目への影響も大きくなることがあります。

さらに、歯肉退縮が進行するほど、失われた歯ぐきを回復できる範囲が限られ、治療に必要な処置や補強する組織の量も大きくなる傾向があります。

一度失われた歯ぐきは、自然に元の位置まで戻ることはほとんどありません。

そのため、症状が軽いうちに原因を確認し、進行を防ぐことが重要です。、一度失われた歯ぐきは自然に元へ戻ることはほとんどありません。


「治療」より「予防」が大切

実は、歯肉退縮は大きく下がってから治すより、下がり始めた段階で進行を防ぐことがとても重要です。

歯ぐきが薄い方では、加齢や歯磨き、噛み合わせなど様々な要因によって少しずつ歯肉退縮が進行することがあります。

当院では、現在の状態だけでなく、

「このまま何もしなければ将来さらに歯ぐきが下がる可能性があるか」

という視点も大切に診断しています。


なぜ早めの対応がおすすめなの?

歯肉退縮には進行度を評価する分類があり、現在はCairo分類、従来はMiller分類が広く用いられています。

これらの分類では、軽度の段階では歯ぐきを元の位置まで回復できる可能性が高い一方、進行するにつれて改善できる範囲が限られることが示されています。

また、歯ぐきが大きく下がるほど、必要となる処置の範囲や歯ぐきを補強する量も大きくなる傾向があります。

そのため、

「もう少し下がってから治療しよう」

ではなく、

「少し気になり始めた今」が、実は最も良いタイミングであることも少なくありません。


歯肉退縮への対応

歯肉退縮への対応は、原因によって異なります。

  • ブラッシング方法の改善
  • 歯周病治療
  • 噛み合わせの調整
  • マウスピース治療
  • 矯正治療
  • 歯ぐきを改善する歯周形成外科

患者さん全員に同じ治療を行うわけではありません。

まずは「なぜ歯ぐきが下がったのか」を診断することが最も重要です。


歯肉退縮を改善し、将来の歯肉退縮を予防する治療

歯肉退縮の状態によっては、歯ぐきを改善し、さらに将来の歯肉退縮を予防するための治療をご提案することがあります。

代表的なのが**CTG(結合組織移植術)**です。

この治療では、ご自身のお口の中にある歯ぐきの一部を利用して、薄くなった歯ぐきを補強します。

「移植」と聞くと大掛かりな治療を想像されるかもしれませんが、他人の組織を使うわけではなく、ご自身の歯ぐきの一部を利用する歯周形成外科治療です。

CTGによって期待できることは、

  • 失われた歯ぐきの回復
  • 歯ぐきの厚みを増やす
  • 知覚過敏の改善
  • 見た目の改善
  • 将来的な歯肉退縮の予防

などです。

もちろん、すべての場合でこの治療の対象になるわけではありません。

現在の歯ぐきの状態や原因を診断したうえで、必要な方にのみご提案しています。


歯肉退縮の治療症例

症例情報

費用(税込)
77,000円(右上犬歯部1歯)

治療内容
結合組織移植術(CTG)による歯肉退縮の改善

治療期間・回数
移植手術1回、抜糸2回。その後は数か月ごとのメンテナンス時に経過観察を行っています。

リスク・副作用
術後に腫れや痛み、出血が生じることがあります。また、治癒経過や歯肉の回復量には個人差があります。


当院では歯肉退縮をどのように診断しているか

当院では、

  • 歯ぐきの厚み
  • 歯周病の有無
  • 歯並び
  • 噛み合わせ・噛む力
  • ブラッシング方法
  • 将来さらに歯ぐきが下がる可能性
  • 知覚過敏などの症状の有無
  • 患者さんが見た目をどの程度気にされているか

まで総合的に診査しています。

歯肉退縮は、「今下がっているか」だけではなく、「これからさらに下がるリスク」を評価することも重要です。

また、同じ状態であっても「見た目が気になる方」「しみる症状がつらい方」「今後の進行を予防したい方」など、お悩みは人それぞれです。

そのため当院では、検査結果だけでなく患者さんのご希望やライフスタイルも大切にしながら、一人ひとりに適した治療方法をご提案しています。

ブラッシング指導だけで十分な方もいれば、噛み合わせの改善が必要な方、歯ぐきを改善する治療をご提案した方が良い方もいらっしゃいます。


よくある質問

Q . 歯肉退縮は自然に治りますか?

A . 基本的には自然に元へ戻ることはありません。

Q . 知覚過敏は歯肉退縮が原因ですか?

A . 歯の根元が露出すると知覚過敏が起こることがあります。

Q . ブラックトライアングルも改善できますか?

A . 原因によって改善できる場合と難しい場合があります。
診査によって適した治療方法をご提案します。


まとめ

歯肉退縮は、放置すると見た目だけでなく知覚過敏や根面むし歯など、さまざまな問題につながる可能性があります。

一方で、早い段階で原因を診断し適切な対応を行うことで、進行を抑えられるケースも少なくありません。

当院では、「今の歯ぐき」だけでなく、「5年後・10年後も健康な歯ぐきを維持できるか」という視点で診査・診断を行っています。

西宮市・西宮北口周辺で歯肉退縮について相談できる歯科医院をお探しの方はもちろん、神戸市・大阪市などからも多くの患者さんにご来院いただいています。

歯ぐきが下がってきた、歯がしみる、見た目が気になるという方は、お気軽にご相談ください。

この記事は、西宮北口アネックスデンタルクリニック・矯正歯科 院長岡本大典が監修しています。

西宮北口 アネックスデンタルクリニック矯正歯科院長岡本大典の写真