顎関節症

顎関節症とは、「口を開けるときに痛む」「口が開かない」「口を開けるときに音がする」などの症状がみられる顎の関節の病気です。
顎関節症は、5つのタイプにわけられます。

Ⅰ型：筋肉の異常
Ⅱ型：関節じん帯の異常
Ⅲ型：関節円板の異常
Ⅳ型：骨の異常
Ⅴ型：Ⅰ～Ⅳ以外の原因によるもの

これらのうち、多くの方の顎関節症の原因となっているのが、Ⅲ型の関節円板の異常です。
関節円板とは、下顎の骨がスムーズに開閉するのを助ける繊維組織のことで、やわらかく、弾力性があります。
口を開けるときのクッションのような役割をしているため、関節円板が正しい位置にあることで、違和感なく口を開けることができます。
関節円板は強い力がかかることで位置がずれてしまうことがあり、それが顎関節症の痛みや音の発生につながるのです。
関節円板がズレる原因には、歯ぎしりや食いしばり、悪いかみ合わせ、事故や外傷などがあります。
顎関節症の治療には、それぞれの原因に応じた治療が必要です。
顎の違和感や痛みが少しずつ大きくなってきたと感じる方は、早めに歯科医院で検査を受けましょう。
歯ぎしりや食いしばりが原因の場合は、ナイトガードの装着で、かみ合わせが原因の場合は、矯正治療で症状を緩和できる可能性があります。

①診断

診断時に咬合力や顎の動きを検査して、症状の程度を確認します。
セルフチェックシートで自覚症状を確認したあと、触診と問診、視診を行います。

②治療

顎関節症の治療には、日常的な癖などを見直すことも必要です。
咬合データに基づいてスプリント療法やTCHの治療、生活習慣改善指導を行い、
関節症の症状の緩和をめざします。
また、かみ合わせにも注目して、必要であれば治療を行います。

スプリント療法

スプリントとは、顎関節症の症状を緩和するためのマウスピースで、これを装着することで顎の筋肉や関節にかかる負担を軽減し、改善を図る治療法です。
基本的には昼間は装着せず、夜間寝ているときに使用します。さらに、スプリントの製作は保険適用が可能なため、比較的手軽に導入できる治療方法です。顎関節症の症状にお悩みの方は、ぜひご相談ください

かみ合わせ治療

かみ合わせの悪化が、顎関節症を発症させていることもあります。
そのような場合には、かみ合わせを調整して、症状の改善を図ります。
しかし、なかにはかみ合わせの調整だけでは症状が改善しない場合もあるのです。

調整だけでは症状の改善ができない様な場合は、
・被せものや詰め物のやりかえ
または
・矯正治療
を行う場合があります。

当院では、マウスピース矯正を行っております。
マウスピース矯正は、マウスピースを常に装着しながら行うため、顎関節症の方におすすめの治療方法です。

TCH（歯列接触癖）治療

無意識の間に行ってしまう、歯の噛みしめ癖を改善します。
通常、お口を閉じている状態では、上下の歯は数ミリ離れていて、接触していません。
しかし、無意識のうちに歯を噛みしめてしまう癖が定着してしまうと、顎の筋肉は緊張した状態が続き、顎関節にも負担がかかってしまいます。
TCHは、顎関節症をはじめ、知覚過敏や頭痛、肩こりなどの原因にもつながるのです。
TCHは、パソコンやスマホを長時間見たり、うつむいて作業する時間が長かったりすることでなりやすいといわれています。

TCHの改善には、日常的に意識して歯を離すことや、うつむく作業時間を短縮すること、ストレスを溜めないことなどが効果的です。
また、かみ合わせがTCHと関係している場合も考えられるため、必要であれば矯正治療によって原因療法を行います。

生活習慣改善指導

顎関節症の原因となりうる生活習慣や日常の癖を特定し、患者様と共有することで、日常的に意識して改善を図る方法をお伝えします。

顎関節症になりやすい生活習慣

・頬杖
・偏咀嚼
・長時間の食事
・うつぶせ寝　など

投薬治療

痛みのせいでお口の開け閉めが難しくなっている場合は、一時的に顎関節や顎の筋肉の痛みに対する抗炎症薬、鎮痛薬を処方し、治療を行う場合があります。
顎の痛みがつらい方はご相談ください。